娘が学校へ行かなくなって
私は不登校の原因を探し始めます。
学校で嫌なことがあったのかな?
お友達とケンカしたのかな?
イジメがあったのかな?
先生に何か言われたのかな?
何度も担任の先生と話してみたけれど
学校での様子は問題ありません。
むしろ楽しそうに過ごしていたとのことでした。
不登校でお悩みのお母さま
子どもが学校へ行かない「原因探し」をしていませんか?
原因がわかれば安心できますか?
娘が学校へ行かないのは
娘に問題があるからではありません。
娘に問題があると考えている自分に問題があるとわかったのです。
宿題ができない
娘が「学校へ行かない」と言った日を思い返すと
宿題ができなかったから。
これが原因だったら
宿題を終わらせる方法を考えればいいのです。
算数の場合
何度も繰り返して解きじっくり時間をかけて理解していくしかない。
きっと理解できたら解くのは早くなるだろう。
しかし……
くりかえし説明しても、言い方を変えてみても
娘は理解できません。
これ以上、どうやって教えたらいいんだろう
っていうところまできて
どうして理解できないんだろう?
普通はこの説明で解るはずだよね
という思いが頭のなかをグルグルグルグル。
漢字ノートの場合
きれいで完璧な字を求めすぎず
ある程度のところで納得して終わらせるようにしよう。
しかし……
妥協できない。
完璧と思えるまで書かないと気が済まないのです。
意味がわからない熟語は国語辞典で調べます。
でも、そこに出てくる言葉の意味がわかりません。
わからない言葉の意味を調べます。
でも、そこに出てくる言葉の意味もわかりません。
そしてまた調べる、の繰り返し。
結局、何の熟語の意味を調べているのか
わからなくなってしまうのです。
私が簡単にわかりやすい言葉で教えても
「わからない」という娘。
どうして理解できないんだろう?
普通はこの説明でわかるはずだよね
という思いが頭のなかをグルグルグルグル。
毎日、娘はへとへとになって宿題を終わらせます。
月曜日に1週間分の宿題を私が学校へ持って行き
とうとう、漢字が追いつかなくなりました。
平日にできなかった分を週末にやるようになり
それでも終わらなくなったのです。
宿題がうまく進まない日は
大泣きして癇癪を起こすようになりました。
そうなると、時間が過ぎるのを待つしかありません。
赤ちゃんのときも、幼稚園時代も
癇癪を起こさない子だったので
私はどうしていいのかわからず
なだめてみたり叱ってみたり…
どうにもならない日の連続でした。
追い詰められる私
できていたことができなくなる娘を見ていると
不安になるばかりでした。
その不安を消すために娘をなんとかしようと必死でした。
毎晩お風呂で泣き、寝る前に泣き、疲労困憊。
明日が来なければいいと思いました。
「いってきまーす」と言って登校する娘を見送りたい。
「ただいまー」という元気な娘の声を聞きたい。
学校へ行けなくなり
宿題もできなくなり
習い事も行けなくなりました。
どんどん落ちていく娘と精神的に追い詰められる私。
もうダメだ。
何もできなくなっちゃう。
どうして?
なんで?
何か障害があるの?
誰か原因を教えて!
助けて!
当時の私は
図書館で不登校関連の本を読み漁り
記事やブログを読み漁り
どうしたらいいのか必死で道しるべを探していました。
娘は、算数ドリルやらをパラパラめくっては
机にうつ伏せになって泣いてしまう日々。
すべてにおいて自信をなくし
暗くて寒いトンネルの中を
ただひたすら歩いているような感覚でした。
このときの私は、娘に何か問題があると思っていました。
解消できない不安
発達障害なのか精神病なのか
原因が解りさえすれば治せるはず。
そんな思いで必死に本を読み
カウンセラーを探し、心療内科を探しました。
スクールカウンセラーと娘は1度だけ学校で話しをしました。
娘は、もう話したくないと言います。
教育相談センターの心理士さんと娘は2度だけ話しました。
娘は、もう行きたくないと言います。
ある大学に属している子どもの心クリニックで
心療内科の先生と娘は1度だけ面談しました。
娘は、次は絶対行かないと言いました。
誰も「これだ!」っていう原因を教えてくれません。
私の不安は大きくなるばかりです。
ずっとこのまま学校へは行けないのかな。
勉強が遅れてしまう。
中学受験も無理かも。
お友達も離れていく。
将来どうなっちゃうのかな。
カウンセラーやクリニックの先生は
私が求めている答えを教えてくれません。
しかし、私に投げかける共通の言葉がありました。
「お母さんは、自分を追い詰めないで
好きなことして過ごしてくださいね」
なにそれ。
子どもが不登校になって
好きなことをして過ごせる親なんているの?
娘が不登校だから、私は出かけられない。
娘が不登校だから、私はゆっくりできない。
娘が不登校だから、私は自分の時間がない。
当時の私は
娘が不登校だから何もできないと思い込んでいました。
娘を想って、娘のために、娘を心配して
なんとかしてあげようと考えて行動してきたのは
娘のためではありませんでした。
娘のためと思い込んで
自分の不安をなんとか解消しようとしているだけの行動だったのです。
学校との話し合い
娘が不登校になってしばらくすると
学校側から今後の対応について話し合いたいとの打診がありました。
夫と一緒に学校へ行き
校長、副校長、担任、保健室の先生と話し合いをしました。
夫は、校長に向かって冷静に言います。
娘が不登校になったのは、小3のときの担任がきっかけだと思います。
けれども、学校にすべての責任があるとは思っていません。
今の娘は学校へ行ける状況ではないので、
無理に行かせるつもりはありません。
しかし、何かのタイミングで娘の気が変わるかもしれない。
そのときは相談させてください。
担任の先生の家庭訪問は、遠慮します。
しばらくは、家で娘の様子を見守ります。
私はというと
涙をこらえて足を震わせて立っている娘の姿が頭に浮かび
何も話せない状態になってしまいました。
あぁ、夫と一緒に来てよかった。
きっと、私1人だったらきちんと伝えられなかっただろう。
娘が在籍する小学校には
娘のほかにも不登校の児童が数人います。
校長は、不登校に理解があるのか
家庭の方針を受け入れてくれる方でした。
校長室を出るとき副校長が私に声をかけてくれました。
「お母さん、大丈夫ですよ。
不登校は必ず終わりますから」
不登校の児童生徒が増え続けるなか
学校になんとか来させようとする先生は
もはや少ないのかもしれません。
しかし、不登校について深く理解している先生ばかりかというと
そうでもないような気がします。
最後に
私の夫は大事な場面では必ず私を助けてくれます。
とても心強い存在でもっと頼ったらいいのに
自分の価値観がそれを許さない。
ずいぶんあとになってから気づきました。
はっきりした不登校の原因がわからず
解決の糸口が見つからない。
とうとう行き止まり。
右も左も道がない。
その状態になって
私はある不登校の専門家にたどり着きます。
「娘が問題なのではない。
娘が問題だと思っている私が問題なのだ」
衝撃でした。
私の問題ってどういうこと?
の状態から自分と向き合い
少しずつ少しずつ
体に巻き付いた重たい鉄の鎖を解いていきます。
不登校でお悩みのお母さま
私と同じように
不登校の原因を突き止めて
自分の不安を取りのぞこうとしていませんか?
学校の対応に1人で悩んでいませんか?
自分が大切にしている価値観は
もしかしたら今の時代に合わないものかもしれません。
大切に持ち続けていたものが、逆に自分を苦しめていたら……
それでもまだ大切に持ち続けますか?
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