喉が痛い。
最初は「気のせいかな?」なんて思っていたけど、だんだん、じわじわ痛くなってきた。
たぶん、夫からもらった。先週、出張から帰ってきた夫は明らかに体調が悪そうだった。激務続きで、そりゃ無理もない。
日曜の夜は、久しぶりに3人で外食の予定だった。夫は先に出かけていて、後で合流するはずが… 家を出る直前に娘とひと悶着。結果、娘は「行かない」と部屋にこもり、あたしひとりで家を出ることに。
原因は――娘の夫への暴言。
あえて「暴言」と言おう。
年頃の女子が父親を嫌う気持ちは、よくわかる。でもね、わかるけれど、わからない。だって、あたしもあの人が大嫌いだから。
あの人(あたしの父)は、いつも自分より立場の弱い人には偉そうだ。人を見下しては自分さえよければいいって考えの人。子どものころからあたしはずっと息苦しかった。「お父さん大嫌い!」って、娘の気持ちは頭では理解できる。でも、心がどうしても拒否するのよ。
だって、娘の父親であるあたしの夫は人生を一緒に歩くパートナーなわけで、あの人とはまったく別の人間だから。夫はあの人みたいに怒鳴らないし責めないし、あたしの心を踏みにじったりしない。
あたしの夫はちゃんと話を聞こうとするし、優しい。だから、娘が夫をズタボロに言うと、やっぱり心がざわつくんだよね。
はいはい、「共感が大事」ってやつでしょ。わかってる。わかってるけど、できないときもあるんだな。
不登校の親として、何百回も学んできたはずなのにね。共感って、なんなのよってこのときばかりは思った。
たぶん、このときのあたしの中では、「母」としての自分より、「妻」としての自分のほうが強かった。娘の母である前に、夫の妻でいた。それが娘を傷つけたのかもしれないけど、どうしても譲れなかったんだよね。
あの人の顔が、ふっと浮かんだ瞬間に共感のスイッチがオフになる。あたしの父親が夫みたいな人だったら――たぶん、今こんな生きづらさを感じていないだろうなと思う。
娘の母であるあたしと、夫の妻であるあたし。そのどちらの立場でも、誰かを守りたくて、どちらにも少し傷が残った。
あぁ、なんか今週は嫌なスタート。喉も痛いし、心もちょっと痛い。痛みは、心からくるのか、風邪なのか。もうわかんない。
さ、薬局いってこよ。


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